薄幸食品

薄幸食品。苦みのあるそれは人によっては蜜の味と感じる不思議な食品。
不幸の味とも呼ばれるそれを私は時折料理に混ぜる。今日はカレーに混ぜ、子供に食べさせる。
子供の味覚は敏感だ。下手に料理に混ぜるとその料理自体を嫌いになり食べなくなる。その点、カレーは味の誤魔化しが効く。薄幸食品を食べさせるにはもってこいの料理である。
昨今の若者は不幸に対する抵抗力が低い。少しの不幸ですぐ挫折するし、自殺する者もいる。
それを防ぐ為、私は子供に薄幸食品を食べさせる。小さい頃から不幸に慣れさせる。
その甲斐あってかウチの子はガチャで欲しくないものが当たっても文句ひとつ言わない。「ガチャなんてこんなものさ…」と達観している。
何か嫌な子供に育ったなぁ…と思わなくもないが、長い目で見たらこれはきっと将来の為になる。
なんて思っていたのが大間違いだった。
ウチの子、気が付けば不幸の味がお袋の味になってしまっていた…