何かが走って行く

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街なかを散歩していると、突然何かが目の前をピューと走り抜けた。車でもないし、あれは一体何だったのかと凝視していると、間もなくしてまた別の何かが来て走り抜けて行った。
おかしな日だなと思っていると、また何かが素早く走り去って行った。
みんな目的を持って何処かに、向かっている様な迫力だ。

知らないオジさんが、見ましたか?あれは何でしょうねと、話しかけてきた。
見ましたよ、早すぎて私は何かが分からなかったですがと答えた。
するとスポーツマンらしき、若き青年があれは時計の針ですよと教えてくれた。
僕は動体視力が人一倍あり、動くものを一瞬だけ静止画像で捉える事が出来ますと言う。

最初の走って来たのは、長針で次が短針、最後は秒針に間違いないですと言う。
時計の軸が外れた為に、バラバラになった三針が遠くまで風で飛ばされ、元の時計台に戻らなければと一刻を争っています。でないと0時の時報に間に合わない。
ファンタジー
公開:22/03/25 13:47

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