味噌汁マインドフルネス

(おぉ、今日は豆腐とわかめの味噌汁か)
やや大きめのお茶碗に、ほんの一部分だけ春を告げる温かさを感じさせる湯気が立ちのぼる。そして、その下には淡い、鉄分の多く含む温泉に浸かり自分の時間を楽しんでいる白い肌の、やや体格のがっちりした常連客が3-4人いた。まずは、常連客の隙間に左足、そして右足とゆっくり浸かってみる。すると思いがけないものと遭遇した。狐さんだ。常連客の肩にある黒い手ぬぐいの下に隠れていた。(おぉ、いつもの狐さんと違うな。小さい狐さんが他にもいるのか。うん、これは？)なるほど、いつもの匂いと違うな。関西風なのか。
趣の異なる温泉もまた格別だ。いやー、心から温まる。常連客が一人、また二人と出ていくと温泉の湯も空になり、そこにいたはずの狐たちはなんと、たぬきになっていた。じっと見つめ、声を掛けようか迷ったが、わたしはそのままにしてその場をあとにした。
ご馳走さまでした。