最後の手紙

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兄は私をかばった。私が変質者に襲われそうになっているところを助ける為に変質者を殺した。正当防衛だった。でも裁判では正当防衛は認められず、兄は殺人犯になった。日本の法律なんてクソだ。弱者なんか守ってくれない。

刑務所の中にいる兄から手紙が届くようになった。お前を犯罪者の家族にしてしまって悪かったという謝罪の言葉がいつも並ぶ。ついに兄の裁判が始まり、結果は死刑となった。私は悔しくて涙が止まらなかった。そして兄との手紙のやり取りは続いた。いつも私の事を気遣ってくれる内容ばかりだった。健康はどうか。恋人はできたか。仕事は上手くいってるか。自分が死刑になりそうなのに、いつも私を心配してくれた。

そして兄の死刑執行日が決まった。

――これが最後の手紙になる。だが俺は間違った事はしていないと思っている。死んだ後もお前を見守っているからな。幸せになれよ。

最後まで兄は、私の事を想ってくれた。
公開:22/03/21 10:04

富本アキユ( 日本 )

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