魔の横断歩道

噂で聞いたことがある。あの横断歩道は絶対に信号が変わるギリギリで渡ろうとしてはダメだと。もし信号が変わるギリギリで渡ってしまうと、必ず交通事故に遭う。そんな噂がされている横断歩道だ。

私は急いでいた。夕方からの塾の時間に遅れそうで、いつもは通らない近道をした。魔の横断歩道を通るルートだ。魔の横断歩道に差し掛かり、信号が変わろうとしていた。しかし私にとっては、変な噂よりも塾の大事な模擬試験を受けられない方が余程怖い。私は躊躇う事なく、信号ギリギリで点滅している中、魔の横断歩道を渡った。
その途中の事だった。突然、横断歩道の白線と白線の間から手が伸びてきた。そしてその手は、私の足首をガシッと掴んで離さない。このままでは信号が変わってしまう。そして信号が変わった。私はそのまま走ってきた車に轢かれ、私の体は空を舞った。そして私は地面に叩きつけられて、意識を失った。
ああ、信号守れば良かった……。