啓示

　規制前の、最後の一服。雑誌を置き、布団に寝そべり目を閉じてヘッドホンの音楽に身を任せる。体がじんわりと麻痺していく。ケミカル特有の、世界認識がばちんと切り替わる瞬間、
　音楽が砕ける。地球の自転が止まる。閉じた瞼を透過したニュートリノが硝子体に反応して青白く光る。光跡が地球を切断する。ばらけた破片から青白く光る地球はグラビアアイドルの大きな胸のように二つ複製された地球の可能性の交点に位置する地球が胸の谷間の可能性が位置する谷間の交点が位置する谷間が交点の可能性で布団のダニ、にとって宇宙も時空もヒトの熱に反応してその都度生成され、血を吸い尽くすと消滅するので、体は動かないが何か特別な徴候、トリップしなければ感知できない啓示できっと、俺はダニのように跳ね起きやって来る天使の、首筋に噛みつき血を吸ってやる。水着姿の巨乳の天使の羽の純白の輝きのひとつひとつに密かに宿る虹色のきらめきを知るために。