ロボット掃除機

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ヴィィィン

またロボット掃除機が動いている
ママは綺麗好きだ
「ねぇママ、何でこいつ同じところばかり掃除しているの?」
「ああ、ロボット掃除機には人工知能が入っていて、汚れているところが分かるのよ。人工……フフ、少し違うけどね。……そうそう。アップルパイ作ったの。切ってあげるわね、ジロー」
ママがパイを切る様子をぼんやりと眺める
「そういや、なんで僕、ジローって名前なの? 次郎って二番目って意味でしょう?」
「あれ? 言ってなかった? あなたにはお兄ちゃんがいたのよ。元気いっぱいで、ひどい散らかし屋でね。あなたとは大違い。フフ。だから私あの日……。はい、切れました。アップルパイ好きでしょう?」
「うん」
パク。甘酸っぱくて美味しい
あ。パラパラとシューが崩れて床に落ちた
ママがみるみるはんにゃのような顔になり、
「イチロー!」と大声で叫んだ

ヴィィィン

ロボット掃除機が近づいてきた
ホラー
公開:22/03/23 09:42
更新:22/03/23 09:43

牧原加奈( 大阪府 )

牧原加奈です。
よろしくお願いします。

https://twitter.com/makihara_kana

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