蛇と蛙

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蛙が池の畔をピョンピョンと楽しく跳ねていると、突然そこにクネクネと蛇が現れた。
両者の目がピタッと合ってしまった。蛇に睨まれた蛙は、恐怖に慄いたか一歩も動けない、いや敢えて動かない。
一方蛇も何故か動きを止め、静止している。
蛙は逃げる為には跳躍する必要があるが、一旦跳び上がれば着地点までは途中での進路変更が出来ない特性がある。
其のため落下点を蛇に事前に予測されてしまうと、蛇に先回りされ一気に呑み込まれてしまう危険性もある。
ただ蛇も常に蛇行運行の為、ここぞと決めた地点に向かって体を一気に伸ばしたら、これ又動作途中での進路変更は出来づ、蛙の出方を読み間違えば外れる可能性もある。
体を折り曲げての屈伸運動をしなければ、蛇も目標地点のリセットは無理である。
その間に蛙は近くの池や小川に飛び込めば、難を逃れられる。

だから両者の駆け引きは、正に棋士の名人戦の如きに一歩も引けず長考に陥るのだ。
ファンタジー
公開:22/03/17 08:43

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