スーザン

スーザンは物理法則を変えることができた（スーザン自身を壊さない範囲で）。
物理学者がいろいろな法則を発見するたび、スーザンは物理法則を変えていった。スーザンは—物理学者は私に聞きにくればいいのに—と苦笑いしていた。
スーザンの頭の中には完全な物理法則があり、物理学者はそれをよく近似していたに過ぎなかった。
こんなスーザンだったが、彼女にも人並の自己複製欲求はあり、子どもを作っていった。
スーザン達はその能力故に沢山繁殖し、地球を支配するようになった。
スーザン達にとって物理法則は自明のものだったので、物理学は徐々に衰退していった。
そこで一人のスーザンが疑問を持った。
「物理学から半分飛び出しているような私たちスーザンの存在は、どのような法則で支配されているのだろうか。」
一人のスーザンは別のスーザンを観察することで、スーザンについて調べ始めた。
これがスーザン学の起源である。