オルゴールと小鳥

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私は根っからのせっかちである。産まれたばかりで早くもハイハイが出来ていたと母は話す。
それはまるで卵から孵ったばかりの小鳥が歩き方を知っているかのようで父からは「将来この子は大地を駆けるダチョウみたくなる」と呆れながらに言われた。
母譲りの歌声と父譲りの音楽センスを持っていながら私はそれを伸ばそうとしなかった。オルゴールと出会うまで。
オルゴールとの出会いは運命的だった。その小さな音色に私の足は止まり、流れるエリーゼの為にを聞いて気付けば鼻歌を歌っていた。
オルゴールの緩やかなメロディに私は徐々に落ち着きというものを手に入れ、大人になる頃には両親から受け継いだ才能を活かせる歌手となった。
小さな声で歌うその姿はお淑やかなお嬢様そのものである。
その小鳥のようなイメージ故に男達は私を籠の鳥にしようと画策する。
でも残念ね。私こう見えて物凄く強いの。昔から言うでしょ。能ある鷹は爪を隠すってね。
公開:22/03/15 20:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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