オルゴールと小鳥

オルゴールが内蔵された小鳥のぬいぐるみを買ってもらった。
だけどこの子、歌がとっても下手で聞いていられない。だから殆ど歌わせなかった。
同じクラスの女の子が同じ小鳥のぬいぐるみを持っていた。
薄汚れてばっちぃかったけど、歌はとっても上手だった。
私はその子とぬいぐるみを交換した。小汚いぬいぐるみだけど、洗ったら綺麗になるだろう。
そうして１カ月かけて汚れをキレイに洗い落とし、綺麗な姿で綺麗な歌声を聞かせてもらおうとオルゴールのネジを巻く。
ぬいぐるみの歌は以前私が持っていたぬいぐるみより下手だった。
何よこれ！怒った私はぬいぐるみを女の子に突き付けた。
「えっ？知らないの？歌って毎日歌わないと下手になるんだよ？１カ月も歌わせてなかったら歌を忘れて当然だよ。それにこの声…あ～あ、完全に錆付いちゃってる。もったいないなぁ…」
ギーギーと鳴く小鳥のぬいぐるみはまるで泣いているように聞こえてきた。