オルゴールと小鳥

昔は人気作曲家として名を馳せていた私も時代に置いていかれ、気が付けば人里な晴れた森の中でひっそりと暮らしている。
これでも音楽活動は続けているし、食うに困る事もない。仕事は定期的に入っているし、評判だって悪くない。
そんな私の悩みは我が家の周りにカラスが巣を作っている事だ。
以前は小鳥が遊びに来る素敵な家だった。勿論今でも遊びに来てくれるが、どうしてもカラスの方が目立ってしまう。不気味さが引き立ち始める。
かと言ってカラスだけ追い出すわけにもいかないし、そんな器用な事も出来ない。
そんな話をしたら笑われた。
「先生、カラスってのは光るものを集める習慣があるんです。先生の光るセンスにカラスも惹かれているんじゃないですか？」
そうなのだろうか？
「そうですよ。先生の作るオルゴールアレンジの楽曲を店内BGMに使ったところ、閑古鳥が鳴いていた店が繁盛したって話もあるんです。自信を持って下さい」