オルゴールと小鳥

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恋の季節。パートナーを求め、大声で鳴く猫の俺。一晩鳴き続けても誰も寄ってこない…それどころか、ガラガラに枯れてしまった悪声に雌猫達は指差して笑う。見た目と同じで声も不細工ね、と。
ため息を吐き、腹が減った俺は花畑で蜜を吸うハチドリを捕まえた。花の蜜を主食とするこいつを食えば、俺の声も少しは良くなるだろうか…
そんな俺にハチドリは小さな箱を差し出してきた。これは何だ?オルゴール?聞いた事がないな…
パカッと箱を開ける。俺の声と真逆で美しい鳴き声のする箱に俺は涙が出てきた。
良い鳴き声ね、と美しい雌猫に声をかけられた。涙でさらに不細工になった俺の顔を見て彼女は笑った。さらに声まで不細工と来たものだから転げ回りながら大笑いする。
貴方って本当に面白い猫。と、生まれて初めて褒められる。
ハチドリに尻をつつかれ、彼女にオルゴールをプレゼントした。
優しい猫って素敵。と彼女。俺の恋もやっと回り始めた。
公開:22/03/16 20:46

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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