荷車の馬

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俺は重い荷物を、毎日運んでいる怪力馬だ。
ある日親方が用事で出掛けて休みの為、TVで競馬中継を観ていた。最後のビッグレースでは優勝馬が大写しされている。
ヒヒーンと雄叫びを上げ、誇らしげに鼻息も荒かった。
なんだあんな奴、俺の方が100万馬力だ、レースにでれば優勝は間違いないぞ。
そうだ今から家出して、志願しようと直ちに出発した。

競馬場の厩舎の親方が、一目見るなり君はチャンピオンになる素質がありそうな筋肉の塊のボディーだ。
今にも優勝できそうだと、大喜びだ。早速採りたての人参と特上の藁をご馳走になった。
数日後にはデビュー戦で、予想通り優勝しテレビに映っていた。

それを馬車の親方が観ていて、あいつあんな所にいたんだと気付き早速連れ戻しに来た。
また食事は元のしわしわの人参とガサガサの藁に戻ってしまったが、親方と一緒の荷物運びのやり甲斐と
競争の無い世界に何故か安堵感を覚えた。
ファンタジー
公開:22/03/16 02:37

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