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「最近、太宰治を読んでるんだ。人間失格には感銘を受けた。あれは僕のことを書いてるんだと思う」
友人は文学青年。とにかく太宰治に心酔している。
「太宰の何が君を惹きつけるんだ?」
以前から彼に聞きたかったのだ。
「太宰は人間が嫌いなんだよ。僕も人間が嫌いだ。だから僕も彼も人間失格。この共通点ゆえに僕は彼の作品を好むんだ。」
気障な口調で答える。
「そうなのか。だが、僕も他者に対して言いようのない恐れを持っているよ。それなら、僕も人間失格ということになるのかい?」
コーヒーの苦みを下で味わいながらさらに続ける。
「人間が他人を恐れることは珍しいことではあるまい。むしろ、人間適格だ。そして、他者、いや、世界に一抹の畏怖を抱かないものこそ人間失格だろ」
マイノリティなど数十年経てば平気でマジョリティに化ける。
その逆も然りなのだ。
友人は文学青年。とにかく太宰治に心酔している。
「太宰の何が君を惹きつけるんだ?」
以前から彼に聞きたかったのだ。
「太宰は人間が嫌いなんだよ。僕も人間が嫌いだ。だから僕も彼も人間失格。この共通点ゆえに僕は彼の作品を好むんだ。」
気障な口調で答える。
「そうなのか。だが、僕も他者に対して言いようのない恐れを持っているよ。それなら、僕も人間失格ということになるのかい?」
コーヒーの苦みを下で味わいながらさらに続ける。
「人間が他人を恐れることは珍しいことではあるまい。むしろ、人間適格だ。そして、他者、いや、世界に一抹の畏怖を抱かないものこそ人間失格だろ」
マイノリティなど数十年経てば平気でマジョリティに化ける。
その逆も然りなのだ。
青春
公開:22/03/15 22:20
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