回復魔法
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妖精が人類と契約した時、二種族の世界はつながってたけど、今では僕らは別々の時空間を生きていて、魔法によって空間だけ共有される。だから僕が人間を見るのは今日が初めてだ。すごく大きい。時間は僕らと別のままだから、石像みたいに固まってる。
回復魔法の対象、勇者の体に皆で刃を入れる。切り出した肉塊が漂うように浮かぶ。痛んだ部位を複製、交換し接合する。人間からは一瞬で回復したように見えるけど、僕らにとっては一日がかりの大作業。何とかバラバラにした。
勇者の心臓だけが、なぜか止まった時間の中で動いてる。こいつは異世界転生者だと先輩が教えてくれた。触れると、温かく力強い。こっちでもそっちでもない、別の世界から来た心臓。目を閉じ、体をぴったり心臓に寄せる。全身に鼓動が伝わる。このまま僕自身を君に埋め込んでもらえたら、きっとどこでもない場所に行ける、目を開くまでの一瞬の間だけ、僕には君の世界が見えた。
回復魔法の対象、勇者の体に皆で刃を入れる。切り出した肉塊が漂うように浮かぶ。痛んだ部位を複製、交換し接合する。人間からは一瞬で回復したように見えるけど、僕らにとっては一日がかりの大作業。何とかバラバラにした。
勇者の心臓だけが、なぜか止まった時間の中で動いてる。こいつは異世界転生者だと先輩が教えてくれた。触れると、温かく力強い。こっちでもそっちでもない、別の世界から来た心臓。目を閉じ、体をぴったり心臓に寄せる。全身に鼓動が伝わる。このまま僕自身を君に埋め込んでもらえたら、きっとどこでもない場所に行ける、目を開くまでの一瞬の間だけ、僕には君の世界が見えた。
ファンタジー
公開:22/03/13 18:00
更新:22/03/13 03:40
更新:22/03/13 03:40
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