型破りな小説

2
3

「――なあ、聞いてくれよ! 型破りな小説を思いついたんだよ!」

「型破りな小説? それって、どんな?」

「とにかくもう、型破りなんだよ! 口では言い表せないほどの奇想天外、驚天動地、破天荒でスーパーな小説なんだ!」

「へ、へえ。それは、すごそうだな」

「型破りすぎて、出版社には受け入れられないかもしれない。常識に囚われた人々には、理解すらできないかもしれない。だが、やるぜ。小説の既成概念をぶっ壊してやる。新たな小説を作ってやるのさ! ――ああ、アイディアが湧いてきた。我慢できない。今ここで、執筆してもいいか?」

「あ、ああ、どうぞ」

「ありがとう! よし、書くぞ! ここは、こうして、……ああ、しまった、文頭を一マス空けるのを忘れてた! あっ、そうだ、会話文に句点はいらないじゃないか! ……くそ、また間違えた。三点リーダーは、偶数個必要なのに!」

「……そこは、ルール守るのな」
その他
公開:22/03/11 21:39
更新:22/03/11 21:59

徳田マスミ

ショートショートを好むのです。
コメディからブラックまで、色んな話を書きたいと思います。

Twitterアカウント:@tokku2113
https://twitter.com/tokku2113

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容