オルゴールと小鳥

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オルゴールの調律師をしている私は眼鏡をかけて仕事に挑む。
ネジを回し、箱を開ける。中から羽の生えた音符が飛び出してきた。
音符はまるで小鳥のように部屋中を飛び回る。捕まえようなんて思っちゃいけない。これは音楽なんだ。音楽は自由であるべきなんだ。
そしてオルゴール箱の中、羽を怪我した音符を見つけた。音の調子が悪かったのは君が原因か。
怪我をした音符をそっと救い上げ、怪我の具合を確認する。
…うん。これくらいなら修理は簡単だ。少し研磨する必要はあるが、パーツの取り換えは必要ないだろう。
怪我をした音符を直し、仲間達の中に戻してみる。
よし。元通り、綺麗な音になった。
仕事を終え、音符が可視化する眼鏡を外す。私も暫しオルゴールの音色を楽しむとしよう。
音楽が止まるとオルゴールの中に戻って行く音符達。それを見届け、そっと蓋を閉じる。
オルゴールはどこから聞いてもいい、小鳥と同じ自由な存在なんだ。
公開:22/03/13 20:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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