オルゴールと小鳥

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路地裏にひっそりと佇むフクロウカフェ。私のお気に入りの場所である。
オルゴール職人の私は作業に行き詰まると店を訪れ、ここで作業を始める。
珈琲の香りで意識を覚醒させる。集中し、細かな作業を続ける。
それを無言で見守ってくれる店長。と、ミニフクロウ。
ミニフクロウは私の傍にやってくると作業の様子を興味深そうにじっと見つめてくる。この緊張感がたまらない。ちょっとでもサボろうとすると鋭い爪で蹴ってくるから手も抜けない。
だが、完成したオルゴールを流すとそっと目を閉じ、聞き入ってくれる姿がお気に入りだ。かわいい奴め。
店長は彼を譲ってあげようか?と言ってくれる。私は首を横に振る。
彼が家にいては私の気が休まる時がない。
そう話すと店長は笑った。
それに私は貴方にも会いに来ているんですよ、店長。
店長の好きな曲をオルゴールにして、ささやかな求愛を私は続ける。
明日も店に訪れては小鳥のように囀ろう。
公開:22/03/10 20:52

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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