見つめるその先に

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しんしんと降り積もる雪が全てを白く染めていく。
このまま全部、真っ白になってしまえばいいのに…真っ白になって、キャンバスのような平面の世界になってくれたのなら、私はこの場所に昔の風景を再現してみせる。絵筆を手に、完璧に描いてみせる。
当時美大生だった私はそんな事を思っていた。
災害に飲み込まれた町。私の故郷。そこにはもう昔の面影なんてどこにもなかった。
見つめる先には瓦礫の山。遅々として進まない復興に下唇を噛む。
雪積もる故郷を後にする。いつまでも止まってはいられない。少しでも前に歩き出すんだ。

あれから十年以上の月日が流れた。
この町は先へと進もうとしている。災害の傷跡を修復し、次の時代へとその姿を変えようとしている。
私もまた、絵筆を図面を引く為のペンに換え、腕を振るっている。
私が見つめるのは過去ではない。これから先の未来を見つめる。
災害を過去のものにせず、未来を作っていく。
公開:22/03/11 20:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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