塗り潰す

塾講師という仕事は非常にストレスが溜まる。
クソガキの成績を上げないとクソ親から文句を言われるクソ仕事。楽しみなど何一つない。
今日も仕事を終えると生徒名簿を開く。授業を邪魔したクソガキの顔を黒ペンで「死ね！死ね！」と念じながら真っ黒に塗り潰す。
そんな私の願いが通じたのか翌日、クソガキは車に撥ねられ顔がぐちゃぐちゃになった。いい気味だ。
それからというもの私はストレスが溜まると生徒の顔写真を塗り潰すようになった。
上手く塗り潰せたら本当に事故に遭ってくれるので面白くなってくる。やっと楽しみを見つけられた。
しかし遊んでばかりもいられない。テストの採点もしなければ。
赤ペンの蓋を開ける。ペン先が潰れていたのか中のインクが飛び散った。社員証の私の写真の首の位置、真一文字に刃物で切られたかのような赤い線が走った。
喉に鋭い痛みを感じ手で押さえる。指の間から零れる赤黒い血が私の写真を塗り潰した。