缶詰工場

缶詰の食品工場では、毎日原料搬入→洗浄→調製→中身詰→注液→脱気→密封→加熱殺菌→冷却→検査→
荷造り→出荷の手順で進めている。
ところが最近食品以外にも色々な物の、缶詰依頼が来る。

あるお爺さんは、最近は物忘れが酷いので、思い出缶詰を造って欲しいと。
覚えている間に楽しい思い出を缶詰に入れておき、過去を忘れた時には缶を開けて懐かしみたいと言う。
あるご婦人は、貴重な宝石類を詰め込んで缶詰にして、缶に貼る商品絵柄はサバ缶のようにしてねとの要望だ。それなら誰も中身がダイヤだとは気が付かないわねと、ホホホと笑う。

ある時特殊スパイ風の男が、これを缶詰にしてくれと尋ねて来た。
何を詰めるのかと聞くと、それは秘密で今は言えないけど完全密閉物だから簡単だと言う。
しかも世界中にばら撒くから数が多く儲かる筈だと。
でも得体の分からぬ物の缶詰はお断りだと突っぱねたが、今思えばそれはあれだったのかな？