無敵な男

俺は無敵だ。誰にどんな攻撃を受けても無傷でいられる。だから俺は人類最強の男だ。世界情勢が混沌とした中、ついに日本は戦争に巻き込まれた。だが俺には他人事だった。どれだけ爆弾を落とされようと、俺に傷をつける事はできないからだ。

「頼む。国の為に戦ってくれ」

日本政府は、俺に頼み込んできた。俺は了承し、戦場へ出向いた。俺は銃や戦車なんて恐れる事はなかった。なぜなら無敵だからだ。沢山の兵士を殺した。毎日、毎日、人を殺し続けた。
これが日本の為になっているのなら、俺は満足だった。俺は世界から恐れられるようになった。戦場のビーストと言われ、俺を見ると皆が逃げていくようになった。俺は日本の英雄になった。

そして戦争が終結した。どの国も壊滅的なダメージを受けた。
だが、俺はもっとダメージを受けた。
俺にとって大切な人達をすべて失い、心に深い傷を負ったからだ。

戦争は何も生まない。俺の心は死んだ。