オルゴールと小鳥

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ご主人様がオルゴール箱を開ける。中からオリーブの首飾りが流れ始めた。さあ、仕事の時間だ。
ご主人様が合図を出す。私達はポケットから、シルクハットから、ありとあらゆる場所から飛び出した。
観客は拍手をくれる。
ご主人様の職業は手品師。そして私達は手品の道具の小鳥である。
ご主人様。トランプはダメ、コインもダメ、ダメダメだらけのダメマジシャンだが鳥の調教だけは物凄く上手い。だから私達も安心してご主人様に身を預けていられる。
それにご主人様、手先が物凄く器用で飛ぶ事が下手な私達の為に飛行補助器具を作ってくれた。
オフの日はそれを装備し大空を自由に飛び回る。
逃げようなんて思っちゃいないよ。私達は餌の取り方を知らない。知っている事と言えば客の喜ばせ方くらいだ。
危険な外の世界より、安全な中の世界を楽しんで生きている。
それに野生じゃ、オルゴールの音を聞く機会はないだろ?私達はこの音楽も好きなんだ。
公開:22/03/07 20:43

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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