オルゴールと小鳥

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父が大事にしているオルゴールの中に一対の小鳥の羽が仕舞われてあった。
「これはね、天使の羽だよ。君は小さい頃、天使病という背中に羽の生える病気に罹っていたんだ。その時、摘出したのがこの羽さ」
背中に羽?天使?残しておいて欲しかったなぁ…
「こんな小鳥みたく小さな羽じゃ空は飛べないよ。それに羽がなくったって君は天使だ」
父がギュッと私を抱きしめた。私も父を抱きしめた。
「君は、僕を残して遠くに行かないでくれよ…」
大丈夫。と答え、父を慰める。
オルゴールから母が大好きだった曲が流れる。
私と同じ天使病を抱え、遠くに旅立ってしまった母。
私も父も信じている。いつか母が天使の羽から解放されて、この家に帰って来ると。
それまで私と父はこの家でずっと母の帰りを待つつもりだ。
母が帰ってきたらオルゴールから流れる曲に合わせ皆で歌おう。
世界一愛に溢れる小鳥遊家で幸せに暮らそう。私も父も家族を諦めない。
公開:22/03/07 20:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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