オルゴールと小鳥

最近、ピアノの練習の調子があまり良くない。
どこが悪いのかと聞かれれば、はっきりと答えられないのだが弾いていて何か気分の悪さを感じる。
このままでは私の音が狂ってしまう…そんな心配を抱える中、両親が小鳥を渡してきた。
「この子はオルゴールを産む小鳥。きっと貴方の役に立つわ」
意味の分からなさに私は混乱してしまう。
とりあえずピアノを弾こう。集中して小鳥の事は忘れよう。
そうしていつものように弾き始め、いつものように不和を感じる。
ふと小鳥に目をやれば卵を産んでいた。しかも割れた卵の中からオルゴールが頭を出しているではないか。
それを恐る恐るそれを開いてみる。先程まで私が弾いていた曲が流れた。ふと違和感を感じる。
あれ？ここ半音ズレていない？
ピアノに戻り、私も半音修正する。これまで感じていた気分の悪さが消え去った。
小鳥のおかげで私は調子を取り戻した。
それ以来、小鳥は卵を産まなくなった。