交番
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右目に勝手に交番を作られた。幻覚の交番だ。幻の人々が忘れ物や道案内のため交番を訪ね、幻の警官が親切に対応している。私にお構いなし。幻想が途切れるのは目を閉じ眠る時だけ。
元々警官は嫌いだ。しょっちゅう職務質問を受ける。彼らが私を見つけた時の、嫌な感じ。目が語ってる。お前たちを疑うことが我々の仕事だ、と。
ある時革命が起こった。私の右目の周辺で大勢の幻覚が争っていた。人々が見たことのない旗を振り、石を投げ棒を振り回していた。血まみれの警官が交番に担ぎ込まれた。死んでいた。誰かが遺体の上に日本の旗を被せた。その時私は初めて、彼らを取り囲む者の持つ旗が、別の日本国旗であることに気付いた。
二つの日本が争っている。だけど、私はたまたまここにいるだけだ。たまたまこの光景を見ているだけ。
右目の幻想の向こうから、本物の警察官がやって来るのが透けて見えた。一瞬だけ、私はぎゅっと目を瞑った。
元々警官は嫌いだ。しょっちゅう職務質問を受ける。彼らが私を見つけた時の、嫌な感じ。目が語ってる。お前たちを疑うことが我々の仕事だ、と。
ある時革命が起こった。私の右目の周辺で大勢の幻覚が争っていた。人々が見たことのない旗を振り、石を投げ棒を振り回していた。血まみれの警官が交番に担ぎ込まれた。死んでいた。誰かが遺体の上に日本の旗を被せた。その時私は初めて、彼らを取り囲む者の持つ旗が、別の日本国旗であることに気付いた。
二つの日本が争っている。だけど、私はたまたまここにいるだけだ。たまたまこの光景を見ているだけ。
右目の幻想の向こうから、本物の警察官がやって来るのが透けて見えた。一瞬だけ、私はぎゅっと目を瞑った。
その他
公開:22/03/08 18:44
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