透明な戦い

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テレビを付けて私は唖然としてしまった。
海を隔てた大国では銃弾が飛び交っていた。

戦争に関しては歴史の授業で勉強した。
でも、この24インチの画面に映し出された光景は受け入れ難いものだった。

朝食後のコーヒーを飲みながら思った。
私の住んでるこの国は平和なのだと。
民主主義国家は伊達じゃないのだと。

朝食を食べ終えSNSをチェックする。
ホーム画面は多くの人達のコメントで溢れ返っていた。
「辛い」、「何もかもが嫌になった」、「消えてしまいたい」

感覚が麻痺していて今まで気が付かなかった。
しかし、他国の現状を俯瞰して初めて気付く。

この国は平和の仮面を上手く被っている。
だが、その裏側では見えない戦争が勃発している。
見えない銃弾が飛び交っている。

そして、私自身がこの戦場に存在する当事者なのだと。
ミステリー・推理
公開:22/03/08 14:49

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