夢の契約書

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「ではこれにサインを」

私は契約書にサインをした。これで私は、いつでも好きな夢を見られる。夢の契約書は、現実世界で夢を叶えるのを諦めた者が、せめて夢の中だけでも良い思いをしようとして契約するものだ。ただし一晩の夢につき、十日寿命を捧げる。それが契約だ。つまり一年間、良い夢を見続けるには、寿命が十年持っていかれる。いいんだ。どうせ長生きしたところで私は、現実世界に絶望しているのだから。寿命なんてくれてやる。

ありとあらゆる夢を見た。お金持ちになる夢。モテモテになる夢。毎日がとても楽しかった。

次第に私はイキイキするようになり、人生が楽しくなった。活気づいてきて仕事でも成果を上げるようになった。その結果、現実世界でも素敵な出会いもあり、結婚した。子供もできた。夢の契約はもうやめだ。人生これからだ。

「あなたの寿命はここまでです」

人生これからだという時に、私は寿命を迎えてしまった。
公開:22/07/22 08:54

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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