出前漢（でまえかん）

江戸時代後期、異国文化の流入と共に”乳母飯使（うぅばぁいぃつ）”という仕事が日本にもやって来た。
この仕事、忙しい母親に代わり乳母が食事を届けたり、簡単な雑務をこなしに来たりという派遣の仕事である。
異国では召使を雇えない家が利用するこの仕事が日本でも流行した。
これにより働く女性の数も増え、日本はまさに時代の確変期を迎えていた。
そして、これを元に作られた仕事が”出前漢（でまえかん）”。
乳母では運べない大量の食事や大荷物を運ぶ男の仕事である。
しかし出前漢は評判が良くなかった。
何せ、配達先で受取人が不在と見るや『不届きもの！』と言い、荷物を切り捨ててしまうのだ。
その癖、しっかり腹を切らせる（料金の徴収をする）ものだから利用者も徐々に減ってしまった。
その結果どうなったかって？出前漢は無頼漢と呼ばれるようになってしまったのさ。