『商売』雑貨店シリーズ

♪カランコロン

「いらしゃいませ」
「あっ、オジさん。ヤクルト1000飲みなよ！」
「何処へ行っても、品切れだとか」
「ほら、あるんだなぁココに！５００円で良いよ」
「ダフ屋さんですか？」
「違う違う。転売ヤー」
「ああ、転売屋さん。私は、よく眠れるし。目覚めも良いし。必要ありません。お帰り下さい！」
「そんな邪険にしなくてもいいじゃん。そもそも、商売の基本は転売なんだから。他で買った物を他に売る。そこに利益が生まれる訳だから」
「確かに、そうですが……」
「じつは、ヤクルトを売りに来たんじゃ無くて。駅に行く道を教えて貰おうかと」
「そうでしたか。あの角を曲がって、後は道なりに」
「ありがとう。お礼にヤクルトをどうぞ。オジさん、強がっても目の下のくまが凄いよ」
「えっ」
「お互いに、商売は大変だけど頑張ろうよ。じゃあね」

コロンカラン♫

店主は、ヤクルトを一気に飲み干した。