霊力発電所

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原子力や火力、水力に続く第四の発電と期待され、日本初の霊力発電所が新設された。
霊力発電所の仕組みは、霊気の力を使ってタービンを回し、電気を作る。燃料となる霊気は、心霊スポットとして名高い国内外から専用の掃除機で霊気を吸い込み回収し、パイプラインやタンカー、貨車、タンクローリーで発電所まで輸送する。霊気は、涼しい環境が整った発電所内の霊凍庫で貯蔵保管され、循環して使われるので再生可能エネルギーだ。
発電所は、寺社仏閣がある霊験あらたかなパワースポットに隣接し、風水も取り入れ鬼門を封じている。
災害やテロなどの有事を想定し、霊気を監視する特殊なセンサーが発電所内のあらゆるところに設置され、霊気が漏出した最悪の場合でも浄めるための霊能者が常駐している。
ところが、霊力発電所を気味悪がって地元住民から反対運動が起こり、不謹慎という意見も出たことから、あえなく発電所は稼働できなくなり廃止となった。
その他
公開:22/07/24 07:06
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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