修学旅行の写真

「どれも楽しそうに撮れているじゃないか。安心したよ」
そう言って笑う先生。
僕はいじめに遭っている。直接的な暴力は受けていない。でも皆が僕を無視する。この教師もそんな状況を見てみぬふりだ。
僕は修学旅行を一人で楽しんだ。別に構わない。人に気を使って数日間過ごすよりよっぽどいい。
そんな修学旅行が終わり、週明けの月曜日。僕は職員室に呼び出された。
いくつもの写真を見せてくる先生。写真には楽しそうな姿が映し出されている。
写真の中心に映っている僕はつまらなそうな顔をしている。でも僕を取り囲む連中は楽しそうに笑っていた。
「ありがとう。君のおかげで修学旅行に行けず成仏できなかった霊がやっと成仏してくれた」
先生は嬉しそうに涙を流す。
用事は済んだのかな？なら先生、あなたも早く成仏してください。
僕の言葉に先生もやっと気づき、成仏してくれた。
そしてため息を吐く僕の体を別の先生がすり抜けていった。