未成年でも吸える葉巻

「面白いものを見せてやろう」
散歩中、爺さんが植え込みに手を伸ばし、丸まった葉っぱを手に取った。
きっと中に気持ちの悪い虫がいるに違いない…
爺さんは葉っぱを口にするとシャボン玉でも飛ばすようにふ～っと息を吹き込む。
すると丸まった葉っぱから煙のような白い糸が飛び出した。何それ！凄い！面白そう！
「これは中に葉巻袋蜘蛛が棲んでいる。吹く時は優しくな」
爺さんはそう言うけど思いっきり吹いてみた。
痛っ！
中の蜘蛛に唇を噛まれた。蜘蛛の毒で唇が膨れ上がる。
これでは散歩どころではない。口を隠しながら帰宅していると近所に住む彼女のみっちゃんに見つかった。
みっちゃんは僕の膨れ上がった唇を見て心配してくれる。
「蜘蛛の毒は吸い出す事が出来るぞ」
爺さんがそんな事をいうものだから、みっちゃんは真っ赤な顔で僕の唇に吸いついて来た。
爺さんはそれを見て「儂も婆さんとの初キスはそんな感じだった」と笑った。