演説

「諸君ら、今こそ革命の時だ！」
駅前でボロのマントを羽織った男が叫ぶ。
「諸君らは自由を奪われている！今こそ声をあげて反抗する時ではないのか！」
駅前は人でごった返しているが誰も男の方に見向きもしなかった。
「何も心配することはない！諸君らと力を合わせればこの国、いや！世界だって変えることが出来るだろう！」
人々に語りかけているが、言葉はただただ虚空に浮かぶばかりであった。
「くそ！なんで誰もわかってくれないんだ！」
男は怒りのあまり近くにいた人間を殴り付けた。
ポーン
殴り付けられた人間の首は吹き飛び、頭があった場所には何本かの千切れたコードが残っていた。
ピタッ
すると、人波は一斉に動きを止め、全ての顔が男に向けられた。
それは、無表情でありながら目は赤く光っていた。