花火師の憂鬱

花火師は憂鬱だった。
原因ははっきりしている。昨年、結婚した20歳年下の妻の事である。
花火師は結婚ほやほやなのだから今まで通りイチャイチャ出来ると思っていた。
それなのに妻は結婚した途端に豹変して何かにつけ文句を言うのである。
花火師が「なんで勝手に髪を切ったんだ」と怒ると妻は「あなただって勝手に禿げているじゃない」と言い、花火師が「自分で稼いだお金なんだから自由に使わせてくれよ」と言うと、妻は「あなたはパッと使ってしまうから私が管理するわ」と言うのである。他にもゴミ捨てや家事の事で妻はすぐに爆発してしまう。まるでニトログリセリンである。ちょっとしたことが火種になってしまうので「まあまあまあ」と毎日宥めてばかり。はぁ～疲れた。こんなはずじゃなかったのに。いっその事、妻を大筒に詰めて空に打ち上げたら、さぞや、すっきりする事だろう。さっき妻の机の上で見た妻が受取人の多額の死亡保険証券と共に。