福笑い一族
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今日は福笑い一族の伝統、「福笑い」をそれぞれが披露する特別な日だ。皆、緊張しているのがひしひしと伝わってくる。それも無理はない。今日出来上がった顔で一年間過ごさなければならないのだから。
大丈夫、この日のために練習を重ねてきたのだから。大丈夫。私は汗が滲む拳を握りしめた。
一族の長が座り、合図を送ると、各々おもむろに顔からパーツを取り外し、鮮やかな布が敷かれた机の上に置く。のっぺらぼうになったお互いを見やり、思わずくすりと微笑してしまう。
「始めえぇぃっっ!!」
長のかけ声にハッ、と我に返り、慎重にパーツを掴んで目鼻立ちを整えていった。
「あ~ん、ウソでしょ~」
数時間の格闘の末に、手にした鏡には、目尻が下がって眉毛が離れた、情けない顔が写っていた。あんなに練習したのに。まぁ、つり目よりはいいか。周囲でも笑いが弾ける。
鏡を覗き込み、にこりとする。
これから一年間、よろしくね。
大丈夫、この日のために練習を重ねてきたのだから。大丈夫。私は汗が滲む拳を握りしめた。
一族の長が座り、合図を送ると、各々おもむろに顔からパーツを取り外し、鮮やかな布が敷かれた机の上に置く。のっぺらぼうになったお互いを見やり、思わずくすりと微笑してしまう。
「始めえぇぃっっ!!」
長のかけ声にハッ、と我に返り、慎重にパーツを掴んで目鼻立ちを整えていった。
「あ~ん、ウソでしょ~」
数時間の格闘の末に、手にした鏡には、目尻が下がって眉毛が離れた、情けない顔が写っていた。あんなに練習したのに。まぁ、つり目よりはいいか。周囲でも笑いが弾ける。
鏡を覗き込み、にこりとする。
これから一年間、よろしくね。
その他
公開:22/07/20 20:45
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