「中身」2052

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いつものように3ヶ月振りに男が訪ねてきた。紙袋を確認する。しかし、その日、男はすぐに帰らず、玄関に突っ立っている。私が「どうかした?」と聞くと「今日で定年なんだ。だから、もう、ここに来ることはない。」
私「そうなの。でもいつでも遊びに来たら良いじゃない。歓迎するわ。」
男「いや、ダメなんだ。そういう決まりなんだ。紙袋保持者とプライベートで会ってはいけないんだ。」
私「そんな!でも今日、定年なんでしょ?辞めたらもう良いんじゃない?そうでしょ?」
男「ダメなんだ。」
私「なんで!なんでダメなの。そんなのおかしい。私、30年間ずっと待ってたのに!!」
男「ゴメン。」
男が何かを口に入れる。突然倒れる男。口から大量の血が流れている。
するとどこからともなく黒いスーツの男達が現れ倒れた男を手際良く運んでいった。私が唖然としていると、1人が戻って来て、こう言った。
「紙袋の中身は見るな。それだけだ。」
ミステリー・推理
公開:22/07/20 10:36

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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