「中身」2022

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「中身は絶対に見ちゃダメ。それだけは守って。」
そう言って、彼女は小さな紙袋を私の部屋に置いていった。それから彼女と連絡が取れない。どうしようか?3日後。見知らぬ若い男が訪ねてきた。「女から紙袋を預かっているだろう?」
私は返答に詰まる。すると男は「心配するな。私は味方だ。紙袋は?」
私は部屋のタンスの奥から紙袋を引っ張りだす。そして男に渡そうとする。すると男は「いや。渡さなくて良いんだ。そのまま持っておいてくれ。くれぐれも中身は見ないように。」
私が「中身は何なんですか?」と聞くと、男は「知らない方がよい。君のためだ。」と言って、笑みを浮かべた。
それから3ヶ月に一度、男は訪ねて来るようになった。最初は事務的に対応していたが、次第に3ヶ月に一度のその日を待ち焦がれるようになっていた。時には少し話をしたり、夏には冷えた麦茶を用意したり。初々しい初恋のような気分だった。そして月日は流れ。
ミステリー・推理
公開:22/07/20 10:35

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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