犬のアルバム

祖母が亡くなり、遺品整理をしているとアルバムが出てきた。祖母のアルバムなんて見た事がなかったから、私は母と一緒に見る事にした。
「戦争があってね。食べる物があるだけでもありがたい生活をしてたの。今では考えられないでしょ？」
「うん」
そんな母の解説を聞きながら見ていると、一枚の犬の写真が出てきた。
「可愛い。犬だ」
「ああ、タロウね。おばあちゃんが拾ってきたんだって」
「うん」
「でも当時、犬を飼う余裕なんてないからお婆ちゃんのお父さん、ひいお爺ちゃんに捨ててこいって言われたの」
「だよね」
「でもおばあちゃんは捨てずにこっそり飼う事にしたの。それでね。タロウがある日、走っていったの。追いかけるとそこにいたのがお爺ちゃん。それが二人の出会いだったんだって」
「タロウは、二人の恋のキューピットなの。だからタロウがいないと私達は生まれてなかったのよ」
そのアルバムには、犬のマークがついていた。