花火大会

「この花火が終わるまでね」
彼女はそう言って少しだけ気まずそうに夜空を見上げた。
今日、僕たちは別れることになる。

去年より広い間隔で腰かけた僕らは
1年前には気づかなかった花火の美しさを理解できた。
次々に打ち上げられる花火が儚げに夜空を彩る。
少しだけ退屈に感じるこの瞬間があの頃と違うのだと心に訴えた。
クライマックスの花火が夜空に上がる。
これまでの全てを飾るような巨大な花火は静かに消えていった。

僕は君と別れた。

お祭りの賑わいは花火が終わってもずっと続いていた。