あの日の借り物
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「ふぉふ…ふぉひ!ふぉすふぉ、ふぃらいと!ください!」高3の体育祭、借り物競走。俺は応援席に向かって、盛大に噛みながら叫んだ。しかし誰一人動かず「なにそれ」と言うばかりだった。誰も持ってない?嘘…俺は手に握った「フォスフォフィライト」と書かれた紙を見つめた。なんなんだよコレ。どうすりゃいいんだ。他の生徒がお題を借りて急いでゴールへ向かう中、立ち尽くしていると誰かに手を引かれた。それは校長だった。校長は「それ借りるぞ」と呟くと俺を連れて駐車場へ向かって走り出した。訳も分からず促されるまま校長の車に乗り、暫く揺られた後、何処かへ到着した。
「それがこの鉱物市だった…」現在58歳になった俺は翡翠を眺め、あの体育祭を懐古する。勿論フォスなんて貴重すぎる石、店から借りれる訳もなく競技は負けた。だが、おかげで鉱物に興味が出て俺は業者になった。いつか…フォスも取り扱いたい。俺の借り物はまだ終わらない。
「それがこの鉱物市だった…」現在58歳になった俺は翡翠を眺め、あの体育祭を懐古する。勿論フォスなんて貴重すぎる石、店から借りれる訳もなく競技は負けた。だが、おかげで鉱物に興味が出て俺は業者になった。いつか…フォスも取り扱いたい。俺の借り物はまだ終わらない。
青春
公開:22/07/16 02:28
いたりかえです。空想と創造の毎日です。
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