コインランドリー

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洗濯物を大量に持って、私はコインランドリーへと向かった。中に入るとおじさんが一人、椅子に座って自分の洗濯物が洗えるのを待っていた。
「こんにちは」
「あっ、こんにちは」
私は話しかけられると思わなくて、思わずビックリして声が裏返る。
「僕ね、コインランドリーが好きなんですよ。洗濯物がクルクル回るドラム式が大好きでして」
「は、はぁ……」
「でもドラム式って高いじゃないですか。それにうちの嫁さんは、ドラム式は嫌だと言って買わせてくれなくてね。こうやってコインランドリーに来て洗濯物がクルクル回るのを眺めるのが好きなんです」
そう言っておじさんは、うっとりした表情で洗濯物が回っているのを眺めている。変な人だなと思いながらも私も椅子に座って、洗濯物が乾くのを待つ。横目でチラチラとおじさんを見ていた。そうしているうちに、おじさんがどんどん若返っていく。まるで、おじさんの心も洗濯されているかのように。
公開:22/07/15 11:30

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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