狐のお面

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自分の顔に自信のない私は、いつもお面を被っている。誰にも素顔を見せたくない。自分の顔を見られるのが恥ずかしいからだ。
そんな私は、夏祭りの時期だけは大好きだ。なぜなら浴衣を着てお面を被っていれば、祭りを楽しんでいる普通の人に見えるからだ。
「あのお姉ちゃんのお面、僕も欲しい」
小さな男の子が私の被っている狐のお面を見て、お母さんにおねだりしている。
「あのう、すみません。そのお面、どこに売っていますか?」
「えっ……あっ……いや……そのっ……屋台には……売ってないです」
これは祭りで買ったお面ではない。元から持っているお面だ。
「えー、嫌だ嫌だ。そのお面が欲しい」
駄々をこねる男の子をなだめるお母さんは、困り果てていた。私は勇気を出してお面を外した
「これよかったらどうぞ」
「うわあ!!お姉ちゃん綺麗!!」
私は整いすぎた自分の顔が好きではない。でも今日は特別にお面を外した。
公開:22/07/15 11:19

富本アキユ( 日本 )

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Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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