汗とシーソー

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「いよいよ決勝戦!」
制限時間内に沢山の汗をかいた方が勝ち上がるルールとなっていた。顔から滴る汗が管を伝ってシーソーの両端にある容器に落ちて傾いた方が勝ちとなる。決勝までドクターストップがかからず、汗をセーブできるかがポイントだ。決勝は学生チームと夫婦チームの対決だった。一人が汗をかき、もう一人が汗をかかせるために工夫をする。学生チームはサウナスーツを着て熱風を浴びせる戦法をとった。夫婦チームも同じ戦法だが体格差からして不利な状況にあった。そこで妻は一枚の写真を取り出し夫に見せた。とたんに夫から大量の汗が噴き出した。
「そっ、その写真をどうするつもりだ」
「さぁ~、どうしましょうかねぇ」
「やっ、やめてくれ~」
写真を会場に向けた時点で勝敗はついた。はずだった。何やら審判員が審議を行っている。
「ルール違反により、学生チームの勝利!」
審議の結果、夫婦チームには涙が混ざってしまったようだ。
その他
公開:22/07/10 23:01

ひろいてん

面白そうなので参加してみました。

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