ブランド化

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ブランド化の波がきた。いまやどんなものにもブランドが付き、そのブランド価値が重視されるようになった。身近な食品には当たり前でペットにでさえブランドが付与された。
「おい、また初対面の女に結婚を迫られたんだって?」
「あぁ、しかもその女も俺の名字目当てだったよ。」
そして、人の名字も例外ではなかった。
私が高校生頃からいくつかの名字がブランド化されるとメディアで発表された。それから異様に異性に狙われるようになった。社会人になってもそれは変わらない。いまや名刺交換が一番の恐怖だったりする。
「全く、いつになったら普通の恋愛が出来るのだ。」
私が心から落ち込んでいるのに対して、目の前の同僚は他人事かの様にヘラヘラしていた。
「いっそ改名しちまえばいいんじゃねえか?」
「バカいうなよ。お前知らないのか?ブランド化されたものには焼印がつけられるんだよ。」

私は同僚に肩口をさらし、ため息をついた。
SF
公開:22/07/12 15:02

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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