舐めるという幸福

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赤。女は小さいのを1つ手に取って口に含むとコロコロとそれを舐める。両頬を薔薇のような赤が移動する。ベリーかな、いやコーラかも。そんな味がする…気がする。青。女はさっきの赤より少し大きいのを1つ手に取ってまた口に含む。カロカロッ。夜空のような青を歯に当てながら舐める。ブルーベリーかな、いやソーダ?そんな味がする…気がする。黄色。女は青より2倍は大きいものを1つ手に取って口に含む。痛っ。向日葵のような黄色で頬の粘膜を切った。女は血と黄色を一緒に舐める。レモンかな、ジンジャーエール?そんな味がする…気がする?血が黄色を邪魔している。私の幸福を遮るなと思いながら女はティッシュで止血した。次、緑。女は黄色よりも大きく、口に入り切らない極光のような緑を手で持って舐める。下から上へと、何往復もする。マスカットかな、クリームソーダ?そんな味がする…気がした。あぁ終わり。次に天然石専門店へ行けるのは水曜日。
その他
公開:22/07/12 11:26

板里カエ( 静岡 )

いたりかえです。空想と創造の毎日です。

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