手話犬

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手話を覚えてくれる聴者は少ない。覚えてくれたにせよ、通訳者にまでなる人は一握りである。天才ろう博士は業を煮やして、犬を改造して手話ができるようにした。
犬を立たせて、足に特殊なハンドをつけて、ろう者のために喋ることを手話通訳してくれるようにした。動物虐待ではないかと批判の声もあったが、そもそもろう者を差別虐待してきたのは聴者だろうと言い返すと、その声は次第に止んだ。
それによって、ろう者の社会進出は飛躍的に伸びた。もともとろう者の方が観察力があるので、それに国語力表現力が付けば鬼に金棒と言えた。
今までろう者を見下していた聴者も、一目置かざるを得なくなってきた。逆に手話のできないことが、劣った人間だとみなされるようになった。学校の必須科目で手話科ができた。
天才ろう博士と手話犬のお陰で、ろう者と聴者が伴に取り合い進んでいく、いい時代になった。
ファンタジー
公開:22/07/08 02:00

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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