とんとん拍子

同期の出川が取引先との交渉で揉め事になり、巨漢の上司にこっぴどく叱られていた。
「おい、出川、最近仕事の失敗続きだな。何かあったの？」
「あぁ、ありがとう。大丈夫だから。」
大丈夫ではない。心配だ。
明らかに出川は血色が悪く、ひどく痩せてしまった。
出川は帰宅すると、あまりの疲れで寝てしまった。
夢を見た。
2匹の豚に、「君はビタミン不足だ。豚ミンパワー　豚を食べなさい。」
夢の内容はそれだけ憶えていた。
早速、豚を中心とした献立を食べまくった。
すると、出川の顔色はみるみる良くなり割腹の良い体型に変化していった。
仕事も驚くほど捗り上司にも何度も褒められるようになった。
「出川君、次の取引も頼むよ。」と上司に呼び出されていた出川は、ふと、上司の机の上の本に目がいった。
本の題名は、『豚々表紙』。

出川は、上司と同じような巨漢になる事と引き換えに仕事が捗るマインドを手に入れたようだ。