本から消えた文字

読みかけの本を、机の上に開いたまま席を立ち思いついた用事をしていた。戻って来てさあ～読もうとしたら本のページが白紙になっている、文字が不在で続きが読めない。
すると後ろの方から、「きちんと並んで読み易く整列していたのに、突然いなくなるとはけしからん。そうゆう場合は栞を挟んで閉じなければいけないよ。」と聞こえてきた。
すると机の下からも「そうだ、そうだ」と賛同の声も聞こえる。よく見ると机から落ちた別の本が開いたままの状態になっている。
これを拾い上げるとやはり文字が居なくなっている。部屋の中をジートと見回すと天井や壁に張り付いたり、箪笥の引き出しの取手に乗って踊っている文字達もいる。
幸いにも窓からは逃げ出している様子は無い。やはり文字も自分達の立場を理解している様で、本の本籍からはそんなに遠くには離れてはいない模様だ。
ただ現住所を機会あれば移動しては、色々と遊んでは楽しもうとしている。